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オンラインゲーム「無限のファンタジア」のキャラブログ。                                                                     超絶気侭、低速更新、同背後キャラ共用。ゲーム関係者なら、コメントいつでも歓迎ですvv
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「蓮はね、浄土へ繋がるんだ。ずっとキヨラカでいられる・・。だから、おまえにこれをあげようね。」
そう言ったのは、祖母だったか母だったのか。
今となってはとても曖昧な記憶となって、ただ、印象的な言葉だけが、ハニエルの耳に残っていた。

蓮華-Renga-

「おまえさん、簪に拘りでもあるのかい?」

閉店後の閑散とした酒場でマスターに笑いながら言われ、ハニエルはきょとんとした瞳を向けた。

「へ?いきなり何?」

本気で話の流れが分からない彼は、思わず椅子をテーブルに上げていた手を止める。
普通歌姫は後片付けなどしないものだが、ここは人手が極端に足りないらしく、ハニエルはいつも後片付けまで手伝ってから帰ることにしていた。

「いや、おまえさん、ドレスはいつも変わるのに、髪飾りだけかわらねえなあ、と思ってサ。」

ほれ食え、と林檎を投げたマスターがカラカラと笑う。
それを受け取って、ハニエルは苦笑した。

「ドレスを変えるのは当然でしょう?私は”歌姫”なんだからさ。でも簪は生憎、これしか持ってないんだ。まあ、買いに行くのも面倒だしね。」

あぐ、と林檎を齧りながら、彼はシャラシャラと簪を鳴らしてみせる。
微かな音を立てて揺れる淡い花を、マスターは微笑んで見ていた。

「それなんて花だい。お前さんのことだ、髪飾りなんかは黙ってても貰えそうなもんだが?」

「確か、蓮・・だったかな?もうよく覚えてないんだ。髪飾りはこれしか持ってないんだよ、本当に。貰ってもなんとなくつけなくて、結局、これだけになっちゃう。」

「じゃあ、やっぱり拘ってるんじゃないか。本当に素直じゃない歌姫様だよなあ。」

そういって豪快に笑うマスターに苦笑を返し、ハニエルは大人しく林檎を齧るに留めた。
拘っているわけではないのだ、本当に。
彼自身は、ドレスに合えば髪飾りはどうでもいい。
むしろ綺麗なものが好きなハニエルは、銀細工や硝子細工にも興味があった。
ただ、彼の脳裏に残る言葉が、毎夜、この簪をつけなければと感じさせるのだ。
そこまで言う必要も無いかと、ハニエルは沈黙を守ったが。

「お疲れさん、もう帰っていいぞ。あとは俺がやっとくから。」
「もういいの?」
「いつも手伝わせてすまんな。たまには、早く帰って彼女の顔でも拝め。」
「彼女なんて居ないの、知ってるくせに。まあいいや、お言葉に甘えようかな。じゃあ、お疲れ様」
「ああ、お疲れ様。明日も頼んだぜ。」
「うん。いつも有難うね。じゃあ、また明日。」

齧り終わった林檎の芯をゴミ箱に放り投げ、ハニエルはひらりと手を振る。
ショールとドレスが翻るのを見ながら、マスターもひらひら手を振った。

酒場から出ると、一気に秋の冷たさを帯びた風がハニエルを迎える。
少し強い風にショールと髪飾りを飛ばされないよう抑えながら、いつもの帰路に着いた。
夜の闇にまぎれ、そこかしこに転がる誘惑と闇の末路を眼の端に入れるたび、不思議と思い出すのは柔らかな女性の声。もはや母とも祖母ともわからぬほど遠い記憶。

「流水の子・・おまえは確かにセイレーンだが・・特に水の性が強い。それは世の中を渡るには楽かもしれないが、きっと、お前が真に望むものは得られないだろうよ。」

そう言ったのは誰だったか。
思い出すたびに、これほど的を射た言葉もそうないと、いつも思う。

「蓮のように在りなさい。浄土に通じるこの花のように。蓮の清らかな蕾は夜明け前に開花する。不安定な水の上、薄闇でも、朝には凛と花を開花させ咲き誇る、蓮のような気質でありなさい・・」

優しく抱きしめてくれた温もりと、祈るような言葉。
今は、願いに程遠くとも。

「うん・・・がんばるよ・・・」

せめて気質だけはそう在れるよう。
せめてそう在りたいと、思い続けるくらいは。

だから、今日もハニエルは笑顔で闇を振り払う。
色あせない簪を志と共に、その髪に挿して。

+END+




てなわけで、いきなり小説ですコンバンワ。
ジェイドさん側で過去小説があがってるのを見て、私も何か書きたくなってしまいまして^^
まあ適当な妄想創作に違いは無いので、お気に召さなければさらりと流していただければよいかと。

今回はハニさんの髪飾りの話です。
彼の髪飾り、モデルは私が持っている蓮の花がついた簪^^
友人が大層な蓮好きだったので、影響されてます。かなり。
宗教的にも幅広く使われてる花なので各種意見が飛び交うところだとは思いますが、
私には「凛と咲く」印象があったのでイメージ採用で。

ちなみに酒場のマスターにタメ口聞いてるのは、ハニがそこの専属歌姫だからです。
付き合いも必然的に長くなってくるのですな。
まあ、酒場の方って割と気さくな方が多い気はしますが^^
こじんまりとしたバーとか居酒屋って好きです。ああのみt(爆破)

そうそう、これを書くに辺り、ハニエルのイメージソングをずっと聴いてました。
個人的イメソンは

鬼束ちひろさんで 「私とワルツを」 「眩暈」
あとたまに 島谷ひとみ さんの「沙羅双樹」。

しっとりした曲ばっかなので、これからまた明るいイメージソングも発掘したいところです。

ではでは、楽しんでいただけましたら幸いです。
次からはまた、ハニの呟きです。







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