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なんでお前が出るのかって?
下から駄文が始まるからですYO★(何だそのノリ)
というのも。
武器を強化に出して固定しようと思うのですが。
数値の関係で、魔楽器になりそうなんですな。
なんでそこで駄文かっつうと、うちの歌姫、楽器が出来ないという裏設定が←
出来ないって言うのは全く駄目、じゃなく、苦手という意味です。
一応吟遊詩人なんで出来ない事は無いんだけど、得意ではない、くらいに考えてもらえれば。
今まで歌う事しかしてこず、楽器は嗜み程度だったのが敗因ですな、はっはっは!!(待
そんなわけで、振って沸きました。
練習に苦戦する歌姫に興味があれば続きからドウゾ。
日差しの強い午後。涼しげな木陰に入って、俺は珍しく人を待っていた。
普段は、あまり待つほうではない。なんたって、押しかけたほうが早いから。
ただ、あいつがここに居たほうが早い、なんて脅しをかけるから―。
「イシュ!お待たせ。」
そこまで考えて、待ち人の声に、イシュことイシュ・ホンフーが顔を上げる。
「おせえよハニ・・。俺もう結構な時間待ってるんだけど?」
呆れ顔をする彼に手を合わせるのは、昔なじみであるセイレーン。
今日の待ち人、ハニエル・セルリアンである。
「ごめん。ちょっとだけ長引いちゃって。」
「へいへい、いーけどさ。」
適当にあしらって、ほれ、と水の瓶を放った。
珍しく昼間の余興に呼ばれた彼は、相当汗をかいているはずだ。
「ありがと。助かる~」
笑顔で受け取って、ハニエルは木陰に座り込んだ。
「おま、衣装じゃねえの?」
「あ?え?ああ、これ?いいよ。」
ケロっと言って、水の瓶を飲み干しにかかる友人に苦笑する。
俺も座るかなあ。なんかこんな単純だと、立って待ってたのがアホらしいじゃんか。
「んで?約束のブツは?」
「貰ってきたよ、ちゃんと。」
そう言って、手荷物から何かを漁ったハニエルが「はい」と綺麗にラッピングされた包みをよこした。
中身を開いて、思わず口元がにやけてしまう。
「貴重だよなあ♪」
「そう?」
「おま」
「まあ、いいじゃん。好きなら。」
今日はこのためだけに、炎天下、こいつを待っていたのだ。
お貴族様の庭園で歌えるこいつに頼んで、これを貰うために。
大事に手に乗せた包みの中には、薔薇の実と花びら。それに、色のついた石がいくつか。
「貰うの、けっこう苦労したんだよ、って聞いてる?」
「きーてるきーてる。サンキュ、ハニ。」
だめだこりゃ、と諦めの声が聞こえてもなんのその。
薔薇の実には、ちょっとした想い出があるのだ。
懐かしい、小さな少女の―。
薔薇の実は加工品しか見つけられないため、庭園の余興に呼ばれたハニにわざわざ頼んだ。
色のついた石―ほんとうに、色がついただけのただの石だ―も、一緒に。
「・・・お腹すいたなあ。サンドイッチ貰ったんだけど食べる?」
「お前食えば?俺いらね」
「そう」
なおも顔をあげないイシュに見切りをつけ、ハニエルがサンドイッチを頬張りはじめる。
「こうなるとイシュは長いよねー」
「ほっとけ」
食べながら喋るハニを適当にあしらいながら、ひたすら見る。
粒をひとつひとつ確認して。
そして。
「ありゃ?」
気付けば、食い終わった姿勢のまま木にもたれて寝息を立てるハニエルの姿があった。
さっきまで普通に声がしてたと思ったのは、気のせいか?
膝の上にはきっちり食べ終わったサンドイッチの包みだけが乗っている。
「食い終わったら寝るって・・・・お前は赤子かよ。」
呆れた溜息をつきながら、揺さぶってみるが、こいつ寝るとなかなか起きないんだよなー。
少し人は少ないとはいえ、往来の、しかも地べたに座ったまま寝てるってどうよ。
更に、セイレーンであるハニエルは目立つのだから始末が悪い。
「なあ、ハニ!!起きろって!!!」
「ん~」
返事しか返らず、目は寝てる。
器用だな、おい。
・・しょうがない。ちょっとだけ付き合ってやるか。
手荷物から、持ってきていた本を開いて、イシュ自身も木にもたれた。
木陰の下を、少しだけ冷たくなった風が吹き抜けてゆく。
まったく、読書にもってこいの季節だが、如何せん気温と日差しが強いのは難点だ。
「30分で起こすからな、ハニ!!」
隣にそう叫んでおいて、文字に目をうつした。
まったく、世話が焼ける。
+END+
「蓮はね、浄土へ繋がるんだ。ずっとキヨラカでいられる・・。だから、おまえにこれをあげようね。」
そう言ったのは、祖母だったか母だったのか。
今となってはとても曖昧な記憶となって、ただ、印象的な言葉だけが、ハニエルの耳に残っていた。
蓮華-Renga-
「おまえさん、簪に拘りでもあるのかい?」
閉店後の閑散とした酒場でマスターに笑いながら言われ、ハニエルはきょとんとした瞳を向けた。
「へ?いきなり何?」
本気で話の流れが分からない彼は、思わず椅子をテーブルに上げていた手を止める。
普通歌姫は後片付けなどしないものだが、ここは人手が極端に足りないらしく、ハニエルはいつも後片付けまで手伝ってから帰ることにしていた。
「いや、おまえさん、ドレスはいつも変わるのに、髪飾りだけかわらねえなあ、と思ってサ。」
ほれ食え、と林檎を投げたマスターがカラカラと笑う。
それを受け取って、ハニエルは苦笑した。
「ドレスを変えるのは当然でしょう?私は”歌姫”なんだからさ。でも簪は生憎、これしか持ってないんだ。まあ、買いに行くのも面倒だしね。」
あぐ、と林檎を齧りながら、彼はシャラシャラと簪を鳴らしてみせる。
微かな音を立てて揺れる淡い花を、マスターは微笑んで見ていた。
「それなんて花だい。お前さんのことだ、髪飾りなんかは黙ってても貰えそうなもんだが?」
「確か、蓮・・だったかな?もうよく覚えてないんだ。髪飾りはこれしか持ってないんだよ、本当に。貰ってもなんとなくつけなくて、結局、これだけになっちゃう。」
「じゃあ、やっぱり拘ってるんじゃないか。本当に素直じゃない歌姫様だよなあ。」
そういって豪快に笑うマスターに苦笑を返し、ハニエルは大人しく林檎を齧るに留めた。
拘っているわけではないのだ、本当に。
彼自身は、ドレスに合えば髪飾りはどうでもいい。
むしろ綺麗なものが好きなハニエルは、銀細工や硝子細工にも興味があった。
ただ、彼の脳裏に残る言葉が、毎夜、この簪をつけなければと感じさせるのだ。
そこまで言う必要も無いかと、ハニエルは沈黙を守ったが。
「お疲れさん、もう帰っていいぞ。あとは俺がやっとくから。」
「もういいの?」
「いつも手伝わせてすまんな。たまには、早く帰って彼女の顔でも拝め。」
「彼女なんて居ないの、知ってるくせに。まあいいや、お言葉に甘えようかな。じゃあ、お疲れ様」
「ああ、お疲れ様。明日も頼んだぜ。」
「うん。いつも有難うね。じゃあ、また明日。」
齧り終わった林檎の芯をゴミ箱に放り投げ、ハニエルはひらりと手を振る。
ショールとドレスが翻るのを見ながら、マスターもひらひら手を振った。
酒場から出ると、一気に秋の冷たさを帯びた風がハニエルを迎える。
少し強い風にショールと髪飾りを飛ばされないよう抑えながら、いつもの帰路に着いた。
夜の闇にまぎれ、そこかしこに転がる誘惑と闇の末路を眼の端に入れるたび、不思議と思い出すのは柔らかな女性の声。もはや母とも祖母ともわからぬほど遠い記憶。
「流水の子・・おまえは確かにセイレーンだが・・特に水の性が強い。それは世の中を渡るには楽かもしれないが、きっと、お前が真に望むものは得られないだろうよ。」
そう言ったのは誰だったか。
思い出すたびに、これほど的を射た言葉もそうないと、いつも思う。
「蓮のように在りなさい。浄土に通じるこの花のように。蓮の清らかな蕾は夜明け前に開花する。不安定な水の上、薄闇でも、朝には凛と花を開花させ咲き誇る、蓮のような気質でありなさい・・」
優しく抱きしめてくれた温もりと、祈るような言葉。
今は、願いに程遠くとも。
「うん・・・がんばるよ・・・」
せめて気質だけはそう在れるよう。
せめてそう在りたいと、思い続けるくらいは。
だから、今日もハニエルは笑顔で闇を振り払う。
色あせない簪を志と共に、その髪に挿して。
+END+
気になる歌声を聞いたような気がして、少年は思わずその場に立ち止まった。
かりそめの街、初めての地において少年はそう詳しくなかったが、ざわめきの中に一本の凛とした声を聞いたような気がしたのだ。
「宿せし我ら、幸福の種・・・集まれ、この地へ・・!」
案の定、その場所には人だかりが出来ている。
淡い月灯りだけがスポットをあてる広場の樹の下では、淡い紫から水色へグラデーションするマーメイドドレスを着たセイレーンが楽しそうに歌声を響かせていた。
「ツキアカリ・ホシアカリ・・・・それらが今宵グラスへ下る・・・月を飲んで歌おう・・ブルームーン・・!」
どうやら酒場のテーマソングらしい一曲を終えれば、周囲から拍手が響く。
少年はこっそり大人に混じり、人ごみの中にいるセイレーンを凝視した。
彼女は、周囲から次々と声をかけられている真っ最中だった。
「ようハニエル!!今日は街頭公演かい?」
「そう!バー・ブルームーンは本日、月見の宴!私も沢山サービスするから、寄って行ってね?」
「ああ、後できっと寄らせてもらうよ。あんたの歌声は耳に残るからね!」
「ありがと・・・!」
そうにっこり笑った顔が、少年には硝子細工のように見えた。
確かに明るい空気があるのに、それがとても脆い物であると、なんとはなしにわかるような。
「ハニエル、もう一曲頼むよ!」
「ええ、よろこんで・・!」
周囲に乞われ、注文を受けた伝票をスタッフに渡しながら、歌姫が次の音楽を響かせるー。